引越し時の敷金返還

賃貸物件解約から敷金返還までの流れ

賃貸物件の解約手続き

賃貸物件を退去する場合、退去時に、原状回復費用を差し引いた敷金が返還されます。ここでは、賃貸物件の解約手続きから、敷金が返還されるまでの流れをご紹介します。計画的に進めておかないと、家賃を余分に払うことになる場合や、掃除や修復が間に合わず敷金返還に影響が出る場合もあります。以下を参考に、賃貸物件の解約から敷金返還まで計画的に進めて下さい。

引越しの1~2ヶ月前に解約手続きをする

引越しの1~2ヶ月前に解約手続きをする

賃貸物件を退去する際は、解約手続きをしなければなりません。退去が決まったら、貸主に対してその旨を申し出ると共に、解約の申請をします。解約の申請は1か月前までとしているところがほとんどですが、中には2か月前までとしているところもあります。解約の期限は契約によって異なりますので、契約書をよく確認して下さい。

また、退去の際は家賃が必ずしも日割り計算になるとは限りません。中には月の途中で退去しても月末までの賃料を払わなければならないところもあります。これについても、契約書をよく確認して下さい。

解約申請をする期限 通常は退去日の1~2ヶ月前
※契約によって異なります。
解約申請をする相手 管理会社又は、大家さん
解約申請の手続き方法 まずは電話で連絡、その後、解約通知書を送付する。
※解約通知書は、賃貸借契約書に同封されている場合もあります。

引越先の家賃と2重払いにならないように調節する

引越先も賃貸物件である場合は、旧居と新居の家賃を2重で支払わなければならない期間が発生することがあります。段取り良く手続きを進めて、2重払いする期間を少しでも減らせるようにしたいものです。

賃貸物件は、鍵を受け取った日から日割り家賃が発生しますので、旧住まいの退去日と新住まいの入居日を同じにすれば、二重家賃が1日しか発生せず、負担を最小限にとどめることができます。

先程お伝えしたように、解約申請は契約により期限が決められています。解約手続きが遅くなってしまうと、退去日以降も家賃が発生することになりかねませんので、計画的に手続を進めて下さい。

原状回復が可能な箇所は掃除・修復しておく

室内の掃除や自力で修復できる場所を直しておく

賃貸契約の解約手続きが済んだら、引越までに室内の掃除や自力で修復できる場所を直しておくことをお勧めします。これにより、返還される敷金の額が変わってくる場合もあります。

敷金は、契約が終了し退去する際、借主に滞納などの問題が無ければ、原状回復費用を差し引いた額が返還されます。原状回復がなされていない場合は、クリーニング代や修繕費等が敷金から差し引かれることになるので、返還される敷金が少なくなります。

支払った敷金 - 原状回復費用 = 返金される敷金

ただ、契約によっては原状回復の有無に関わらず、ハウスクリーニング代等を敷金から支払うといった「特約」が結ばれている場合もありますので、事前に契約内容をよく確認して下さい。

どこまで原状回復する必要があるのか

原状回復できるよう掃除等を行うとお伝えしましたが、どこまで元通りにする必要があるのでしょうか。原状回復とは、借主の故意や過失によって生じた損耗、損傷のみ元通りにする必要があり、人が普通に生活していて生じる通常損耗分や経年劣化分は回復する必要はありません。

どの程度が通常損耗分とされるのか、故意や過失と判断されるかは、明確な基準はありません。 ただ、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(飛び先はPDF)」や、東京都の「賃貸紛争防止条例 (東京ルール)(飛び先はPDF)」の2つのガイドラインが参考にされることが多いようです。主な事例を以下にてご紹介しますので、参考にして下さい。

通常損耗・経年劣化 ・壁にポスターなどを貼った画鋲跡
・日照等による畳や壁紙の変色
・家具の設置によるカーペットのへこみ
・テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ
・エアコン設置による壁のビス穴・跡
・自然災害で破損したガラス
・ルームクリーニング(入居者が通常の清掃を実施していた場合)
・次の入居者を確保するための設備の交換やリフォーム
故意や過失と判断される損耗 ・飼育ペットによる柱等のキズ
・クリーニングで除去できない程度のタバコのヤニ
・くぎ穴・ネジ穴(下地ボードの貼替えが必要な程度)
・結露を放置したことにより拡大した壁のカビやシミ
・引越作業等で生じた床のひっかきキズ
・キャスター付のイス等による、床のキズやへこみ

※程度や状況によって、判断が変わる場合もあります。

引越し当日、立ち会いのもと室内の点検をする

室内の点検

引越までにできる範囲の原状回復を済ませたら、次は引越当日の立ち会い確認です。当日、管理会社の担当者や大家さんと、住居内の損耗等の点検を行います。敷金返還の際、認識の違いによるトラブルを防ぐためにも、代理人ではなく本人が立ち会いをすることをお勧めします。

荷物や家具が置かれた状態では、隅々まで確認できないため、全ての荷物が運び出された後に室内の点検を行います。担当者の方と点検をする際は、傷等の損耗が入居前からあったのか、入居後に発生したものなのかを、よくすり合わせして下さい。入居時に傷の写真を撮影していたり、入居時の損耗についての現況届を提出していたりする場合は、参考にできます。

点検により、新たな損耗が発覚した場合は、回復費用の負担が自分たちなのか、貸主側なのかをその場で確認しておくと安心です。全ての点検作業が終了したら、鍵を返却し、立ち会い作業完了です。敷金を返還するための振込口座を聞かれる場合もあるので、用意しておいて下さい。

<立ち会い点検時のポイント>

  • 全ての荷物が運び出されたタイミングで行う
  • 代理人ではなく本人が立ち会うようにする
  • 損耗等が入居前からあったものかどうか、しっかりと確認する
  • 回復費用は貸主負担か借主負担か確認する

退去後1~2ヶ月で敷金が返還される

立ち会い作業を経て、引っ越しが終了したら、後は敷金が返金されるのを待ちます。敷金が返還される前に、敷金の精算内訳書が届くのが一般的です。しっかりと立ち会いの際に確認しておけば、トラブルになることは少ないと思いますが、万一、疑問点等がある場合は、すぐに問い合わせるようにして下さ。

敷金の返還時期については、厳密に「退去後何日までに返却されなければならない」という規定がありません。通常は、原状回復作業が全て終了してから返還され、多くの場合、30日~45日程度で返還されているようです。

契約書に敷金返還がいつ頃になるか明記されている場合もあるので確認してみて下さい。また、引越当日の立ち会い点検の際に、いつ頃敷金が返還されるか、確認しておくと安心です。

まとめ

賃貸物件の解約から敷金返還までの流れをご紹介しました。解約時期や敷金返還については、知識のあるなしで損をしてしまう場合もあります。上記記事を参考にして、解約のタイミングや、事前の原状回復作業等、できる範囲のことを行っておくことをお勧めします。また、敷金返還についてのトラブルを防ぐためにも、引越当日の立ち会い作業時は、できるだけ本人が立ち会い、疑問点についてはその場で確認しておいて下さい。