海外引越しの準備

海外引越しの荷物の送り方

海外引越しで荷物を送る場合、必ず船便で送るか、航空便で送るかを選択ことになります。ただ、それぞれにメリット、デメリットがあるため、それを理解した上でどちらを利用するか、あるいは両方使うかを選択する必要があります。

また、荷物によって、船便が適しているものと、航空便が適しているものがあります。その荷物に適さない輸送方法を選択してしまうと、無駄に費用がかさんだり、荷物が破損したりする可能性が高くなるため注意が必要です。

海外に荷物を運ぶ船

海外引越しでは、何を持っていき、何を日本に残し、何を捨てるか以外に、どの荷物をどのように運ぶかを的確に判断することが重要です。荷物の輸送で失敗することがないよう、まずはどんな輸送方法があり、それぞれにどんな特徴があるのかをご説明します。

海外引越し荷物の送り方その1:船便

船便は、海外引越しで定番の輸送方法です。運賃は荷物の「大きさ」で決まります。船便で荷物を送るメリット、デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
  • 運賃が安い
  • 一度に多くの荷物が運べる
  • 輸送に時間がかかる
  • 荷物の破損や紛失のリスクが高い

船便の運賃は、重さに関係なく大きさで決まるので、重たい荷物は船便向きです。また、輸送には時間がかかるので、すぐに使わない荷物も船便で送りましょう。

輸送にかかる日数の目安

  • ・アメリカ  35日~60日
  • ・ヨーロッパ 55日~70日
  • ・アジア   20日~40日

※船便は、荷物の到着が予定より遅れるケースが非常に多いのが現状です。

海外引越し荷物の送り方その2:航空便

航空便を利用する多くのケースは、船便と合わせて利用しています。運賃は荷物の「重さ」で決まります。航空便で荷物を送るメリット、デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
  • 船便より早く荷物が送れる
  • 船便より破損や紛失のリスクが低い
  • 運賃が高い
  • 送れるものや容量に制限がある

航空便の運賃は、重ければ重いほど高くなるので、航空便で送る荷物は軽いものを選んでください。また、現地ですぐに使いたい荷物は、航空便で送る方が断然早いので便利です。

輸送にかかる日数の目安

  • ・アメリカ  7日~14日
  • ・ヨーロッパ 7日~14日
  • ・アジア   7日~15日

船便、航空便に合った荷物の選び方

海外引越しでは、引越し前後の生活に支障がないよう、船便と航空便を上手に使い分けて荷物を送るのがベストです。しかし、いざ仕分け作業に入ると、何を船便で送ればいいか、何を航空便で送ればいいかで、案外迷ってしまいます。そこで、送り方に合った荷物の選び方を具体例とともにご紹介します。

おおまかな基準 適した荷物の例
船便
  • 今すぐ必要ないもの
  • 当分なくても何とかなるもの
  • 大きいもの・重たいもの
  • すぐ使わない季節のもの
  • 大型の家具、家電
  • 趣味のもの(本・DVD・ゴルフクラブなど) など
航空便
  • なるべく早く使いたいもの
  • 日常生活でよく使うもの
  • 小さいもの、軽いもの
  • 衣類全般
  • 日用品
  • 小型家電
  • 調理器具 など

船便の場合、航空便より荷物の制限が少ないため、輸出入が禁止されているもの以外であれば、たいていの荷物を送ることができます。船便は運賃が安いため、船便のみの海外引越しも一般的です。ただし、引越し前後の生活では、物の少ない状態が長期間続きます。そのため、何便かに分けて輸送する、現地調達を上手く使うなどの工夫も必要です。

海外引越しの荷造りの手順と送るタイミング

何をどうやって送るか、ある程度仕分けができたら、いよいよ荷造りです。ただし、荷物の送り方によって発送のタイミングが違うため、荷造りの段取りを誤ると発送が間に合わなくなります。そうならないためにも、以下の順番を守り、スムーズに荷物の発送ができるよう荷造りをしましょう。

  • 【2ヶ月前】  船便で送る荷物、あるいは航空便で送る荷物を決める
  • 【~1ヶ月前】 船便の荷物を梱包する
  • 【2週間前】  航空便の荷物を梱包する
  • 【4~2日前】  航空便の荷物の発送
  • 【~1日前】  手荷物の準備
  • 【出発当日】  手荷物を持って出発

船便、航空便、どちらを使うにせよ、当日、自分で運ぶ荷物(手荷物)の準備も必要です。スーツケースは早めに用意しましょう。手荷物には、絶対に無くしてはいけないものや、暮らしに欠かせないものなどで、携帯が可能なものを選ぶようにしてください。

手荷物にした方がいい荷物

大部分の荷物は、船便か航空便で送ることになりますが、引越し直後の生活に必要な荷物や貴重品は、引越し当日、スーツケースなどに入れて自分で運ぶ必要がでてきます。手荷物で運んだ方がいい荷物は、以下のようなものが一般的です。

おおまかな基準 適した荷物の例
機内に持ち込むもの
  • 貴重品 *1
  • 電子機器
  • 現金、貴金属
  • カメラ・ノートパソコン
  • *2 など
預けるもの
  • 現地ですぐ必要になるもの
  • 小型の楽器
  • 当面の着替えや下着
  • 洗面道具
  • 食品 *2
  • バイオリン など

*1 貴重品の輸送は手荷物のみ

*医薬品や食品は輸出入に制限があるので要確認

現地では、船便や航空便で送った荷物が届くまで、手荷物の中でやりくりすることになります。引越し直後の生活がなるべく不便にならないよう、手荷物は生活に欠かせないものを優先して選ぶようにしてください。

また、「船便や航空便では送れないが、手荷物にすれば持っていける」という荷物も多少あるので、引越し業者とよく相談をして荷造りすると失敗が少なくて済みます。

海外引越しの荷物を送るときの5つの注意点

1.海外には送れない荷物がある

海外には、「ポルノ雑誌や政治的煽動の書物」「毒物や劇物の薬品」「肉や野菜などの食料品」「ワシントン条約で取引が禁止されているペットや植物」など、送ることができないものがたくさんあります。具体的に何を送ってはいけないかは国によって異なるため、引越し業者に確認するなどして、慎重に荷物を選ばなければなりません。

2.荷物の梱包はかなり厳重にする必要がある

海外へ送られる荷物の扱いは、わたしたちが思っている以上に乱暴です。特に船便で送る荷物は、破損や紛失のリスクが高いと言われており、より安全に運ぶためにはかなり厳重な梱包が必要です。

海外引越し荷物は、海外発送用の丈夫なダンボールを用意し、緩衝材をたっぷり使ってしっかりと保護した上で梱包してください。ただ、できれば引越し業者に梱包してもらうのがおすすめです。自分で梱包するのと比較すれば多少費用はかかりますが、引越し業者のスタッフに梱包をお任せすることをおすすめします。

3.荷物を送るのに関税や検査費がかかることがある

海外へ荷物を送るときには、必ず関税を通過しなければなりません。引越し荷物を送る場合には、通関で税金がかからないように「別送品」として送るのが一般的です。「別送品」とは、中古品で販売目的でない荷物、つまり、あくまで自分のものを自分のために送るものと認められた荷物のことです。

ただし、国や荷物の内容によっては、「別送品」であっても関税が必要な場合があります。また、通関時に必ず検査を受けなければならない荷物もあり、その検査費は自分で負担しなければなりません。そのため、海外引越しでは、渡航先国の最新の通関事情をチェックしておくことも重要です。

4.荷物の到着が予定より大幅に遅れることがよくある

海外引越しでは、あらかじめ想定されていた到着日時よりも、はるかに遅れて荷物が届くということがよくあります。通関に時間がかかったり、輸送自体に時間がかかったりすることが、遅延の主な原因です。

特に船便では、天候や他の船の影響を受けて大幅に輸送が遅れることがしばしばあります。1ヶ月単位で遅延することもあり得るので、「そういうこともある」という心構えが必要です。

5.本当に大切なものは海外に持っていかない方がいい

海外引越しでは、荷物の通関の際、ダンボールが開けられて中身がチェックされるケースは多々あります。現地に届いたときには中身がぐちゃぐちゃ、ということも珍しくなくありません。

ひどい時には、中に入っているものが破られていたり、紛失していたりするケースもみられます。いくら保険をかけていても、思い出の品を元通りにすることはできないので、お金には代えられない大切なものは、できる限り日本で保管してください。

まとめ

海外引越しでは、船便か航空便を使って荷物を輸送します。しかし、船便、航空便にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、荷物によって輸送方法を変える(船便、航空便両方使う)のが一般的です。荷造りする際には、荷物を「船便」「航空便」「手荷物」に分けてから作業を始めるとスムーズです。荷造りは船便から始め、梱包は厳重に行いましょう。

また、海外に送る荷物については、渡航先の国によってさまざまな制限があるため、それを考慮した上で選定しなければなりません。税関などでのトラブルを最小限に抑えられるよう、引越し業者とよく相談しながら「送る荷物」を決めるようにしてください。