海外引越しの準備

失敗しない海外引越し業者の選び方

海外引越し業者を選ぶ際に重要なことは、信頼性、実績、サポート力の3点です。ただし、国内引越し業者を探す時とは、それぞれを見極める基準が異なります。では、具体的に何を見て選べばいいのか、その選定基準からご紹介します。

海外引越し業者

海外引越し業者を選ぶときの3つのポイント

海外引越し業者の信頼性、実績、サポート力を見るためには、以下のポイントに注意する必要があります。この基準をクリアしている業者の中から、費用・サービスで希望に合う業者を選ぶようにしてください。

1.国土交通省の認可を得ている

海外への引越し業務を行う場合、国土交通省から適切な許可を得る必要があります。正確には、「外航運送に係る第二種貨物利用運送事業」に対する許認可です。この許認可を得るには、海外引越しに関する充分なノウハウを持ち、信頼に足るサービスが提供できる業者であると、国に認められなければなりません。つまり、認可を得ている業者に依頼すれば、安心して引越しを任せられるということです。

この許認可制度は、悪徳業者を無くし、依頼主の荷物を守るためのものですが、無許可で海外引越し業務を請け負っている業者が存在するのも事実です。こういった業者の中には、不法入国の外国人を使ったり、詐欺まがいのことをして受注を取ったりする業者があります。トラブルを避けるためにも、認可を得ている業者の中から選ぶよう心がけてください。

2.引越し先の国への引越し実績が豊富にある

多くの実績を重ねた業者は、その分ノウハウも充実します。豊富なノウハウを持つ業者に依頼すれば、引越しトラブルのリスクも減るので、「実績」を見る業者選びはとても重要です。

ただし、業者によって、対応している国や得意としている国が違います。注目しなければならないのは、「自分が引越しをする国の情報と、引越し実績がどれくらいあるか」です。この選択を間違えると、あえて業者が不慣れな国への引越しを依頼し、トラブルのリスクを高めてしまうという事態に陥ります。

こういった失敗を避けるためにも、引越し業者を選ぶときには、まず業者ごとの特徴や強みをしっかり把握し、自分がいく国への引越しを得意としている業者の中から依頼先を選択してください。

3.現地でのサポートが充実している

海外引越しでは、現地についてからの引越し作業や生活に対し、多くの人が不安を抱きます。たとえば、現地での引越し作業やトラブル、現地の方とのコミュニケーションについては、余程経験を積んでいる人でない限り、大きな不安要素です。

そのため、海外引越しにおいて「引越し業者の現地でのサポート力」は非常に重要です。たとえば、最も代表的なサービスの「日本人(日本語)サポート」は、多くの人が必要とし利用します。特に海外では、思いもよらないトラブルが起こることも多々あるので、何かあったときの拠りどころは積極的に確保しておくべきです。

また、引越し業者で提供されているサポートサービスは幅広く、引越し作業だけにとどまりません。引越し後の暮らしのサポートなど、便利なサービスが数多く存在します。実際に使うか否かは別としても、なるべく現地サポートが充実している業者を選ぶようにしてください。

海外引越し業者選びの決め手になる便利なサポートサービス

海外引越し業者は、荷物を引越し先に送り届けるという基本サービス以外に、さまざまなサポートサービスを提供しています。たとえば、「不用品処分」「荷造り・荷解き」といった国内引越しでおなじみのサービスはもちろん、海外生活全般に対するサポートや帰国時のサポートなど、その内容は多岐にわたります。

あらかじめどのようなサポートサービスが存在するのかを確認しておきましょう。

以下は、海外引越し業者にあると便利なサポートサービスの一部です。

出発前のサポート ・航空券の手配
・日本に置いていく家財の保管
・海外引越しや現地での生活に関するアドバイス
到着後のサポート ・日本人スタッフ(または日本語)によるサポート
・変圧器・日本食などの販売
・住まい探しのサポート(現地入りしてから住居を探す場合)
・現地生活で役立つ情報提供
帰国時のサポート ・帰国(引越し全般)のサポート
・住居解約のサポート
・日本の家(帰国前)のハウスクリーニング

引越し業者から得られる現地情報やアドバイスは、現地の気候や交通、銀行口座の作り方、子供の教育など幅広いので、積極的に利用しましょう。たいていの場合、無料で提供してもらえます。

また、日本人による現地サポートは、大きな安心感を得られる上、万が一のときも円滑に対処できるので軽視できません。言葉に不安がある人も、そうでない人も、極力日本人スタッフが現地にいる業者を選んでください。現地法人のある業者は、現地に日本人を置いている可能性が高いので、現地法人がある業者を優先して選ぶという方法も有効です。

ただし、業者によって提供するサポートサービスの内容が異なるので、依頼した後で後悔することがないよう注意してください。

海外引越しの依頼が可能な業者の紹介

海外引越しは、海外引越しにも対応している引越し業者や運送業者、あるいは海外引越しを専門にしている業者に依頼します。以下は、海外引越しの依頼が可能な業者の一部です。業者選びの参考にしてください。

海外引越しに対応している業者 対応している国 特徴
日本通運 アメリカ・欧州・中東・アフリカ・アジア・オセアニア 国内はもちろん、海外引越しでも有名な運送業者。単身・家族・留学など、タイプに合ったさまざまなプランを提供。サポートサービスが非常に充実している。
クロネコヤマト 北米・欧州・アジア・その他 運送業者の大手。海外引越しサービスの歴史が長く、実績も豊富。日通と同様、多彩な引越しプランと幅広いサポートサービスが用意されている。
エコノムーブジャパン 全世界 海外赴任者のトータルサポートを得意とした業者。無駄なコストを抑え、本当に必要なサービスを良心的な費用で提供することに注力している。
SENKO TRANS 全世界 利用者のニーズに合わせたワンストップサービスを提供している、海外引越しの専門業者。トランクルームや不用品処分など、引越しで欲しいサービスが一通り揃っている。
国際エキスプレス 全世界 海外引越し、国内引越しが可能な運送業者。ルーム・ツー・ルームの引越しサービス。車やペットの引越しも可。現地の住居の手配など、現地サポートが充実している。

大手の引越し業者でも、すべての業者が海外引越しに対応しているわけではありません。海外引越しに対応可能か、希望する国に対応しているかを確認する必要があります。また、大手以外の業者も忘れずにチェックし、よく比較した上で決めるようにしてください。たとえば、特定の国への引越しに特化しているなど、場合によっては大手より使い勝手がいい業者もあります。

こんな海外引越し業者には要注意

手でバツを作る女性

料金が他社と比べて安すぎる、または高すぎる

引越し業者の見積もり額は、高くても安くても注意が必要です。たとえば、低料金を売りにした業者は、サービス面に大きな不安があります。他社より格段に料金が安く、かつサービスも充実しているという業者は「ない」と考えてください。もちろん、高額な費用を提示してくる業者も、なぜその価格設定になっているのか納得のいく理由がない限り契約をしてはいけません。

海外引越し業者は国内引越し業者よりも数が少なく、価格競争がそれほど激しくないことから、業者によって料金にかなりの幅があります。業者を選ぶとき、料金にばかり目が行きがちですが、必ずサービス内容も考え合わせて選んでください。

電話がつながらない、メールの返信が遅い

海外引越しにおいて、業者のサポート力はとても重要です。ここでいうサポート力とは、サービスの多さ、幅広さはだけでなく、対応の早さも含まれます。多彩なサポートサービスがあっても、いざという時、すぐに対応してもらえなければ意味がありません。

業者選びで注目して欲しいのは、必要なときに連絡が取れるか、すぐに対処してもらえるかです。何度電話してもつながらない、メールで問い合わせても返信が来ない、といった業者は、人員が少なく、満足な対応ができない可能性があります。

業者選定中は、あえて自分から問い合わせをしてください。すぐに対応してもらえない、的確な回答を得られない業者は、選択肢から外しましょう。

質問や要望に対する返答が曖昧

信頼に足るノウハウや情報を持ち合わせていない業者は、依頼者からの質問や要望に対し、明確な回答ができない傾向にあります。たとえば、質問に対して納得のいく回答が得られない、要望を伝えてもはぐらかされるなど、対応が曖昧になるのが特徴です。

これらの要素が少しでも見うけられたら、トラブルの元なので、その業者は選ばないようにしてください。最悪の場合、悪徳業者に当たる可能性があるのでご注意ください。

海外引越しの業者選びを間違えるとこうなる

業者選びを成功させるためには、万が一失敗したときにどのようなトラブルが起こるのか具体的に知ることも大切です。海外引越し業者に関わるトラブルにはさまざまありますが、中でもありがちなトラブルをご紹介しますので、業者選びにお役立てください。

引越し当日になって、積みきれない荷物が出てくる

引越し当日、荷物を全部送ることができず、時間が無い中で、別送するか処分するかなどの選択を迫られることがあります。主な原因は、梱包後の荷物が予想以上にかさばって、全部積み終わらないうちに容量オーバーになる、業者スタッフの段取りが悪く荷造りが間に合わない、などです。充分な実績やノウハウがない業者では、この手のトラブルが多発します。

運搬中に荷物が壊れる、無くなる

海外引越しでは、国内引越しと比べ、荷物の破損や紛失の確率が上がります。依頼者側でできる確実な対策はあまりないので、業者側でしっかり対策を取ってもらうことが重要です。たとえば、安さだけにこだわった質の悪い業者では、たいてい荷物の扱いは雑になります。また、現地の企業を利用する業者や外資系の業者の場合も、荷物の扱いが雑になる傾向があるため、選択を間違えると荷物トラブルのリスクが高まります。

現地の引越し作業がスムーズに運ばない

海外の拠点や、地元企業との連携が上手くいっていない業者を利用してしまうと、困ったときに連絡が取れない、荷物が届かないなど、引越し作業が滞るようなトラブルがよく起こります。中には、数ヶ月前に送った荷物が届かないので問い合わせたら、「まだ日本にある」と言われた、というとんでもない業者もあります。

見積もり額と請求額が大きく食い違う

万が一悪徳業者にあたってしまった場合、見積もり時の額は業者の中で一番安かったのに、結果的にはどの業者よりも高い料金を支払わされるという結果が待っています。つまり、見積もり時と全く条件が変わっていないはずなのに、見積もり時よりはるかに高額の請求書が送られてくるといったトラブルです。低価格で受注を取るというのは、いわば悪徳引越し業者の常套手段ですので、間違っても価格だけで業者を決めないでください。

まとめ

海外引越しでは、特殊な手続きや面倒な作業が多く、そのほとんどを引越し業者に委ねがちです。だからこそ、どんな業者を選ぶかが重要であり、「よい業者」を選択することは、直接海外引越しの成功につながります。「よい業者」とは、自分の引越し環境にぴったりとマッチしている業者のことです。

「信頼性」「実績」「サポート力」のある業者の中から、必要なサービスと欲しいサービスが納得のいく価格で提供されている業者を選べば、自然と業者選びは上手くいきます。ポイントをしっかりおさえた業者選びをし、安心でスムーズな海外引越しを実現しましょう。