家電

エアコン移設の費用について

エアコン移設は、旧宅でのエアコン「取り外し作業」、新居での「取り付け作業」、そして「運搬」の3種類の作業を行うことになります。
またエアコンは、室内の壁に設置する室内機と室外に設置する室外機の2種類の機器(ユニット)によって構成されており、ユニットをつなぐ配管や電気配線など作業が生じます。

エアコンの移設費用

引越し業者に依頼した場合の料金相場

引越し業者の基本料金にはエアコン移設作業が含まれていません。移設を依頼する場合、いわゆる「オプション、付帯サービス」の扱いとなり新たな料金が発生します。

料金相場 15,000円前後/1台
大手の引越し業者を見ると最安値は1万円程度、高くても2万円台
※2台目以降は基本的に割安の料金で依頼できるようです。
備考 配管・配線の状況や設置環境によって料金が変動します。
目安として、2万円程度の料金で収まれば許容範囲内と覚えておきましょう。

エアコン専門業者に依頼した場合の料金相場

エアコン専門業者に移設工事を依頼する場合、1台の移設につき作業員1名が基本です。取り外し・運搬・取り付けといった一連の作業をすべて一人で行います。また、特別な取り決めが無い限りは、同日中に作業を完了させるのが一般的です。

料金相場 20,000円前後/1台
加えて運搬距離に応じて料金が加算されるシステムを採用している専門業者が多く見受けられます。
備考 取り付け・取り外しを1万円以下の格安料金で行う全国対応の専門業者も見られますが、この場合運搬作業が含まれていません。運搬のみを別業者に依頼するか、自分で運ばなければならないということですので注意してください。

専門業者の料金相場は引越し業者と比較して多少高い傾向にありますが、この差は運搬費が関係しているようです。引越し業者は、引越しが本業ですから運搬費を安く抑えることが可能です。その分基本料金を安く設定することができます。

工事で追加料金が発生してしまう理由

エアコンの移設を依頼した際、当初の見積もり料金(基本料金)内では収まらずに、追加料金が発生するケースは多々あります。どのような場合に追加料金が発生するのかご紹介しましょう。

パイプの延長 通常、追加工事が発生しやすい箇所は、配管や電気・配線関係です。配管とは室内機と室外機をジョイントしているパイプの事で、新居での取り付け工事において、設置位置の関係上、室内機と室外機の距離が長くなったために、従来の配管では長さが足りない事があります。パイプの延長が必要になり、その結果追加料金が発生します。
配管を通すための穴を開通させる 室内機設置場所付近の壁面に配管を通すための穴が開いていないのであれば、新たに穴を開通させる必要があり追加料金がかかります。配管に新たに化粧カバーを取付ける場合にも、当然の事ながら追加料金が発生します。
室内機などのクリーニング 移設を機に室内機などのクリーニングを実施するケースがありますが、当然その場合にも別料金が発生します。
エアコンの冷媒ガスの補充 また稀にエアコンの冷媒ガスが抜けてしまうことがありますが、その場合は新たなガスの補充が必要となり、追加料金が発生します。ただしガス抜けは、エアコンに欠陥が無く、業者の運搬作業にも特に問題が無いのであれば、そう頻繁には発生しません。

このようにエアコンの移設で必要になりうる工事や作業は意外と多いものです。基本料金はあくまで旧宅と同じ状態で設置できる場合の料金で、実際のところ環境が変われば新たな部品や工事が必要になることは珍しくありません。ある程度の追加料金はあらかじめ考慮しておく事をおすすめします。

工事で追加料金がなるべく発生しない為の注意点

エアコンの移設工事において、追加料金を極力発生させないためには、取り外し現場と取り付け現場を事前にしっかりと確認して、問題点や追加料金が発生する可能性について把握する事が大切です。

まず、旧宅の取り外し現場については、通常追加料金が発生する可能性は低いでしょう。要注意なのは断然、新居の取り付け現場についてです。

<チェックすべきポイント>

  • 室内機と室外機をつなぐパイプが既存パイプの長さで足りるか
  • パイプに化粧カバーを取付けるべきか
  • 電源コンセントの新設・変更などは必要か
  • 電圧の切り替えやブレーカーの交換は必要か

もし工事を要する箇所が見つかったら、作業を依頼する業者の作業内容(サービス内容)を見直しましょう。

一般的に、引越し業者やエアコン専門業者は、エアコン移設工事に「パック式(コース式)」を採用しています。これは、複数の作業(サービス)をまとめてパックにして提供するサービスで、エアコン移設の基本作業(取り外し・取付)パックに、さまざまな作業を加えたものです。

多くの利用者は料金の安い「基本作業パック」を選択していることが多いのですが、なるべく多くの作業をサポートしているパックを選ぶことで、追加料金がかさんで高くついてしまうのを防ぐこともできます。

たとえば、配管パイプの延長が必要だと言うことが当日分かったとしても、配管の交換(延長)が含まれているパックで作業依頼しておけば、追加料金が発生しないと言う訳です。

ただし、基本作業パックと複数のサービスがセットになっているパックとどちらが安いかは、結局どれくらいの作業が必要になったかによります。新居の設置環境をできる限り確認し、業者に伝えましょう。あらかじめ必要な作業が分かっていれば、想定外の追加料金を取られることも少なくて済みます。

ぼったくりに注意!

エアコンの移設工事で、業者から不当に料金を請求されるケースがあります。その常套的な手口は、最初に格安・激安の工事料金を提示するというものです。

例を挙げると、まず業者は相場の料金と比べて格段に安い料金を謳い文句にして集客を行います。そして現場での作業中パイプの劣化を指摘し、ガス漏れのリスクがある事などを理由にパイプの交換を迫ります。またガスが漏れているといって、本当は必要のないガス補充をするといった手口も。

しかし実際には、既存パイプは充分使用に耐え得る状態で、本来ならば交換する必要が全く無いケースがほとんどです。ガス漏れに関してもそうそう起こるものではなく、エアコン本体や運搬に問題がない限りは補充の必要はありません。

配管の交換は、3,000円/m程度が相場で、ガス補充は30,000~40,000円程度が目安となります。追加の作業を依頼すると、料金にかなりの差が生じることが分かります。

激安料金を売りにしているサービスの場合、現場作業を行う業者は下請け・孫受けの立場である事が多く、基本作業のみでは充分な利益が出ません。何とか追加工事を行って利益を確保しようとします。私たち利用者の殆どは素人ですから、プロの業者から説明を受ければそれほど疑うことなく任せてしまうでしょう。

激安を強くアピールしている業者には充分に注意が必要です。価格の安さは確かに魅力的ですが、料金だけで業者を選んでしまい、かえって料金が高くつくと言う結果を招かないようにしたいものです。あとで不当な請求をされたことに気付いたとしても、お金が返ってくることはまずありません。

不当な料金を請求された体験談

今春、マイホーム(中古戸建)を購入して賃貸マンションから引越しを行ったのですが、その際、エアコン専門業者に依頼して既設エアコンの移設を行いました。ちなみにその業者を選んだ理由は、ホームページに掲載されていた料金が格安だったからです。

ところがいざ作業が始まると、配管が劣化しているので交換が必要だと業者は言い始めました。そして、ガス漏れの心配もあるから、ガスの補充もするべきだと強く言いました。

私としては、まだ導入して1年も経っていないエアコンなので、パイプがそんなに傷む訳が無いと思い、納得がいきませんでした。しかしながら、業者があまりにも強引に進めようとするので、私としても最後には折れて、業者の言う通りの追加工事をやってもらいました。そして後から届いた請求額の高さに驚きました。

後日、別の業者にこの件について尋ねてみたところ、エアコン新設1年以内であれば、基本的に配管には、交換を要するレベルの劣化はまずは起こらないと言われました。今思い出しても悔しいです。