家電

冷蔵庫を自分で運ぶ

冷蔵庫は家電の中でも重い部類に入ります。物によっては一人で運べる場合もありますが、かなりの重労働です。かといって引きずって床や壁などに傷をつけるようなことでは大問題です。旧宅が賃貸の場合高額な修繕費用を請求されることも考えられますし、何よりマナー違反です。

冷蔵庫を自分で運ぶ

本来冷蔵庫は引越し業者や宅配業者に頼むのが一番ですが、こちらでは自分で運ぶ方法について紹介します。

自分で冷蔵庫を運ぶ場合の必要経費

自分で運ぶ場合の費用は、トラックのレンタルと梱包材、手伝ってもらった知人へのお礼に使います。

トラックのレンタルにかかる費用は6,000円前後です。1万円以上かかる引越し業者への依頼料よりは安く済みます。梱包材はホームセンターなどで手に入れることになりますが、冷蔵庫は大きいのでその分費用もかさみます。たとえば巻きダンボールの場合は2,000円程度で購入可能ですが、足らなければ追加購入が必要です。ただし、梱包材に関しては家にあるもので代用したり、譲ってもらったりすることで費用を節約することが可能です。

そして忘れてはいけないのが知人へのお礼です。冷蔵庫の運搬はかなりの重労働ですので、相手にもよるかとは思いますがそれなりのお礼は必要でしょう。

業者を使わない引越しでも、冷蔵庫などの家電や家具の運搬がある場合は運搬業者を使わなくてもある程度の出費が生じるということを覚えておいてください。

冷蔵庫の梱包方法

冷蔵庫の梱包は、表面(化粧面)に傷が付かないようにする目的や、衝撃による破損・故障の発生を防ぐ目的で行います。使用するものは、緩衝材(エアーキャップ)、ダンボール、毛布、ロープ類、テープ類などです。

梱包方法の例を挙げると、まず前面、側面、背面等を緩衝材で包み込んだ後、その上から、適当な大きさにカットしたダンボールを使ってガードするように包んでいきます。さらにその上から、巻きダンボールを使って梱包を行います。天井、底についても忘れずに行います。緩衝材やダンボールは、ガムテープなどでしっかりとめましょう。

梱包をすると、前後やコンセントなどの突起物の位置が分かりにくくなります。事故を防止するためにも、ダンボールの上からマジックで明記したり印をつけたりして、すぐに分かるようにしておきます。

ダンボールの変わりに、毛布を使ってもかまいません。この場合も、緩衝材で包んだ後、毛布で全体を巻くようにして包み込んでいきます。毛布がずれたり緩んだりしないように、テープやロープ、ベルトなどで毛布をしっかり固定することが重要です。

冷蔵庫の大きさにもよりますが、一般家庭の冷蔵庫であれば、1枚の毛布では足りません。複数の毛布が必要になります。また薄手のものより、厚手のものを用意できると安心です。

冷蔵庫運搬の注意点

冷蔵庫運搬の一番の注意点は、本体を立てた状態で運搬する必要があることです。これには動作不良や故障を引き起こす可能性があるという理由があります。

冷蔵庫は、冷媒によって冷却・冷凍が行われています。冷媒を圧縮する装置としてコンプレッサーが装備されており、その潤滑油として冷凍機油が使用されています。

冷媒や冷凍機油は、正常な位置関係が保たれた状態において、冷蔵庫が正常に動作するという仕組みです。ところが本体を横にしてしまうとこの位置関係が崩れ、その結果コンプレッサーなどに不具合や故障が発生する恐れが出てきます。こういった理由があり、冷蔵庫を立てた状態で運ぶ必要があるのです。

トラックの積載スペースの都合などにより、仕方なく横にして運搬しなくてはならない場合もあります。このような事態を防ぐため、冷蔵庫を立てたまま運搬できるサイズのトラックを用意することをおすすめします。

また、冷蔵庫の運搬に不慣れな人が運ぶと、どうしても傾いた状態での運搬になりがちです。本体が傾くだけでも、トラブルの原因になります。

冷蔵庫を運搬した後の対処方法

引越しで冷蔵庫を運搬した場合、移設後の対処方法として重要なポイントがあります。それは、電源を入れるタイミングです。一般的に、新居での設置後、1~2時間経過してから電源を入れるのがベストです。

冷蔵庫には、可燃性の「ノンフロン冷媒」というものが使用されており、通常は冷却回路に密封されています。ところが、運搬を行う事によってこの冷媒が動いてしまい、不安定な状態になるケースがあります。場合によっては、冷媒がコンプレッサーなどに入り込む事があり、この状態で電源を入れると冷蔵庫が故障してしまう危険性があります。移設後はすぐに電源を入れるのではなく、しばらく時間をおいてから入れる事が大切です。

ある大手家電メーカーでは、移設後10分程経ってから電源を入れると良いと説明しています。ただしこの場合「冷蔵庫を立てた状態で運搬をした場合に限る」ということを忘れてはいけません。あくまで冷媒が常に安定した状態で移設を行う事が条件となります。引越しで冷蔵庫を運搬する場合、この条件に該当しない場合があります。

引越しの際の運搬・移設においては、常に立てた状態で運ぶとは限りません。傾けながら人が運ぶ事もあれば、横倒しする可能性もあるでしょう。また、車両運搬中に振動で大きく揺れる事も考えられます。

引越し業者など、家電の運搬のノウハウをもつ業者に適切に運んでもらったとしても、絶対に故障しないという保証はありませんので、冷蔵庫内の冷媒が十分に安定するまで待ってから電源を入れましょう。

冷蔵庫を自分で運んだ人の体験談

素直に業者に頼めば良かった

結婚を機に引越しをしたときのことです。荷物は少なかったですし、何より20代だったので体力に自信があったのもあって、バンのレンタカーだけ借りて全部自分達で荷物を運びました。

冷蔵庫は小型のものでしたが、私と義父の2人がかりで運ばなければならず、しかもかなりの重量に感じました。もちろん冷蔵庫は空でした。特に大変だったのは階段です。新居は3階だったんですが、運び終わるまでに相当時間がかかりました。

冷蔵庫は横にして運んではいけないと事前に調べて知っていたので、なるべく倒さないように運ぼうとしましたが、まっすぐに保ったまま運ぶのは無理でした。結構傾けてしまったと思います。まさかこんなに大変だと思っていなかったんで、義父には申し訳ないことをしたなと思っています。

何とか新居に運び込んで恐る恐る電源を入れてみたところ、特に問題なく動いてくれたので一安心しましたが、もしこれで調子が悪くなってしまったら当分の間妻に冷たくされていたことでしょう。

もし今後また引っ越す機会があるとしたら、次は絶対に引越し屋さんにお任せすると思います。